研究課題/領域番号 |
16H03933
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
志賀 啓成 東京工業大学, 理学院, 教授 (10154189)
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研究分担者 |
相川 弘明 北海道大学, 理学研究院, 教授 (20137889)
須川 敏幸 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (30235858)
宮地 秀樹 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (40385480)
大鹿 健一 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70183225)
山田 澄生 学習院大学, 理学部, 教授 (90396416)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 低次元トポロジー / 結び目理論 / 3次元多様体論 / 4次元多様体論 / クライン群 |
研究実績の概要 |
志賀は、Klein群などの力学系から定義されるカントール集合の擬等角同値性を研究した。特にショットキー群の極限集合、双曲的有理函数の力学系のジュリア集合などの擬等角同値性を考察した。また、Klein群が退化する場合の擬等角同値性についても論じた。 相川は、半径一定の容量密度平均の下限を考え、半径が大きくなったときの極限が0か1しかないことを距離測度空間に対して示した。また、Lipschitz領域やJohn領域をベースにもつシリンダー上の熱方程式の正値優解の境界にいたるまでの大域的可積分性を様々な角度から導いた。 須川は、リーマン面のアファイン構造の正則族について研究を行ない、特にアファイン構造全体のなすタイヒミュラー空間上のアファイン束の構造について種々の研究を行った。また、リーマン球面から有限個の点を除いたリーマン面について、その双曲距離の一様評価についても研究を行った。 宮地は、タイヒミュラー空間の複素解析的構造の解明のために、極値的長さ及びタイヒミュラー距離の複素解析的性質を研究した。特に極値的長さのレビ形式と対応する正則2次微分の平方根により定義されるリーマン面の周期行列との関係を明らかにした。 大鹿は、Mahan Mjと共同で、Cannon-Thurston写像を変形空間において研究した。特に擬Fuchs群が境界群に収束する場合、Cannon-Thurston写像が各点収束するための必要十分条件を与えた。また各点収束しない場合にはどの点で収束が崩れるかも完全に決定した。 山田は、双曲幾何学の最初のモデルとなったベルトラミ・クライン計量を,平面の単位円板の補集合上で射影幾何学により定義される距離関数を用いて、ローレンツ幾何学との関連性を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の推進方策は研究代表者、分担者のこれまでの研究,特にタイヒミュラー空間のコンパクト化に関する研究を進める、という方針であった。研究代表者・分担者の研究実績および成果発表は、内容と量ともに十分なものがあった。したがって、研究の進捗状況は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者、分担者のこれまでの研究、特にタイヒミュラー空間のコンパクト化に関する研究を精査し、一般のクライン群の変形空間のコンパクト化への研究の道筋をつける。 Riemann面のタイヒミュラー空間の境界理論は、Thurston, Bers, Gardiner-Masur によるものがよく知られている。(複素)射影幾何を用いたBers境界は志賀・須川・宮地が、双曲幾何を用いたThurston境界は大鹿、極値的長さの幾何を用いたGardiner-Masur境界は宮地が研究を進める。山田は Weil-Petersson幾何による完備化の研究で秀でた結果をさらに進展させる。相川はポテンシャル論的コンパクト化一般の専門家として洞察を深める。さらに年度末には研究集会を開催し、研究の進展状況を確認するとともに国内外の研究者と情報交換・討論を行う。 また、新しいアイディアと研究の素地を固め、発展させる。具体的には、昨年度に続き、目標として「本研究の主たる対象のクライン群の変形空間のひな形であるタイヒミュラー空間のコンパクト化およびその一般化についての知見を広げることに努める」を掲げる。昨年度に行った若手研究者との討論と情報交換を生かして、新たなアイディアの発掘と進展を目指す。 7月にサンクトペテルブルクのEuler Instituteで開催される研究集会 Riemann surfaces and Teichmuller Theoryにおいて,分担者の宮地・大鹿・山田が招待講演を行い、志賀も参加して本研究課題とその関連分野の研究成果について議論し、研究交流を行う。さらに国際研究集会・ワークショップに積極的に参加する。
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