研究課題
昨年度までの研究を継続しつつ、次に取り組んだ。(1) 一様等方計量を持つ時空間における半線形場の非相対論的極限を考察した。空間のスケール関数はアインシュタイン方程式から定められる。極限方程式の初期値問題を考察し、大域解と爆発解をソボレフ空間において考察した。空間の膨張の役割を、極限方程式の消散構造として特徴付けした。複素化された計量を用いることにより、拡散方程式とシュレディンガーを統一的に導出し、解析を行った。アインシュタイン方程式に基づいて、拡散方程式とシュレディンガー方程式の導出法を初めて示した。(2) ド・ジッター時空を背景時空として、半線形拡散方程式の初期値問題を考察した。小さい初期値に対する時間大域解の存在と漸近挙動を示した。ハッブル定数が零でない場合に、藤田指数と呼ばれる非線形指数が現れないことを示した。空間が膨張あるいは収縮する場合には、消散効果が強く表れ、非線形効果を打ち消すものと解釈できることを示した。(3) 一様等方空間における相対論的流体の方程式の非相対論的極限として、速度の遅い流体に対するナヴィエ・ストークス方程式を導出し、エネルギー評価における空間の膨張・収縮効果を報告した。同様に弾性体方程式に対しても考察した。(4) ド・ジッター空間において、半線形プロカ方程式を導出して、その初期値問題をソボレフ空間において考察し、小振幅時間大域解の存在を考察した。特に、ハッブル定数が正の場合には、べき乗型非線形項の指数は1以上であれば大域解は存在し、藤田指数と呼ばれる指数が表われないことを示した。(5) 研究成果の一つであるド・ジッター空間におけるハートリー型非線形項を持つクライン・ゴルドン方程式の初期値問題についての結果を日本数学会において発表した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)
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