研究実績の概要 |
本研究の目的は測度論的な手法による場の量子論のスペクトル解析を確立することであった.また,隔年ごとに場の量子論のスペクトル解析に関する国際研究集会を開催する計画であった.2019年度は本研究の研究計画調書のA(1), B(2),E(1)で成果を上げることが出来た. (A. ラフパス理論によるGibbs測度の構成と応用)(1) UV をくりこんだGibbs測度を構成し基底状態の性質を示した.これはO .Matte(Aalborg大)との共同研究でプレプリントarXiv:1903.12024にまとめて現在国際誌に投稿中である. (B. 基底状態の研究) (2) ネルソン模型の基底状態の空間的指数減衰性の下からの評価を与えることに成功した(プレプリント).ここでconfiningなポテンシャルとdecayingなポテンシャルについて証明することが出来た. また非局所的な運動項をもったハミルトニアン(粒子の質量=0,場の量子の質量=0)の基底状態の存在を示した.これはT.Hidaka(福岡工大),I.Sasaki(信州大)との共同研究である. プレプリントarXiv:1609.07651v3にまとめ現在国際誌に投稿中である. (E. 場の量子論におけるSDEと古典極限の研究)(1) ウイグナー測度による準古典極限の解析をPauliーFierz模型で考察した. これはZ.Ammari(Rennes I大),M.Falconi(Rome 大)らとの共同である.現在論文執筆中である. RIMS共同利用で「量子場の数理とその周辺」を開催し海外の研究者を招聘した.
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