研究課題/領域番号 |
16H03948
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
石井 仁司 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (70102887)
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研究分担者 |
儀我 美一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (70144110)
三上 敏夫 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (70229657)
小林 和夫 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80103612)
小池 茂昭 東北大学, 理学研究科, 教授 (90205295)
三竹 大寿 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (90631979)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 関数方程式 / 粘性解 / 退化楕円型方程式 / 漸近問題 / 最適制御 / ハミルトン・ヤコビ方程式 |
研究実績の概要 |
1階非線形偏微分方程式、2階非線形楕円型及び放物型偏微分方程式に対する粘性解理論とその応用の研究を進めた。G. D. Gesu氏,T. Lelievre氏, D. L. Peutrec氏, B. Nectoux氏の最近の研究成果に触発され、原点に漸近安定な特異点を持つような移流項を含む楕円型作用素の固有値問題と同じ楕円型作用素を持つ放物型方程式に対する準安定性との関係についてP. E. Souganidis氏と共同研究を行った。I. Birindelli氏、G. Galise氏との共同研究において、完全非線形退化楕円型方程式(短縮ラプラス方程式)に対する固有値問題を考察し、Faber-Krahn型の固有値の領域に関する依存性を調べ、領域としては体積を一定に保った直方体の族を考えて対応した主固有値に注目すると立方体の時に最大となり、ラプラス方程式の場合とは全く逆になるという研究を完成させた。さらに、固有関数の存在と、主固有値を閾値とするような解の存在と一意性に関する研究を、これまでの一様凸領域という仮定を弱めて狭義凸領域上で行い、肯定的な結果を得た。狭義凸領域から凸領域に条件を弱めると否定的な結論に導かれ、従って、狭義凸領域という条件が肯定的結論を得るための必要十分条件であることが分かった。南京大学に於いてQ. Chen氏、W.Cheng氏、K. Zhao氏と共にハミルトン・ヤコビ方程式に対する割引消去問題の一般化について研究を行った。割引消去問題に関して領域が有界でない場合の研究をA. Siconolfi氏と共同研究を進め、得られた成果を論文に纏めている。割引消去問題をハミルトン・ヤコビ方程式の連立系に対して研究し、Minimax定理を応用した方法を使えば、連立系が互いに非線形な結合をする場合に対しても肯定的な結果を得られることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非線形偏微分方程式に対する幾つかの漸近問題(割引消去、準安定性、Langevin方程式に対する摩擦減衰)についてのこれまでの成果と非線形固有値問題、ハミルトン・ヤコビ方程式の連立系に対する割引消去等に関する新たな成果から順調に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
割引消去、準安定性に関するこれまでの研究をより広い視点から問題を探り、これ等の研究を一層発展させる。非線形固有値問題の研究を完成度の高いものにする。特に、Harvey、Lawson両氏による関連した研究を参考にして研究を進める。初期値問題、境界値問題に対する一意可解性の研究は最重要課題として研究を一層進める。
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備考 |
研究代表者の研究に関連したプレプリントの情報と研究集会の情報を掲載している。
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