研究課題/領域番号 |
16H03955
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柴田 一成 京都大学, 理学研究科, 教授 (70144178)
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研究分担者 |
野上 大作 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20332728)
本田 敏志 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 特任助教 (20425408)
前原 裕之 国立天文台, 岡山天体物理観測所, 専門研究職員 (40456851)
浅井 歩 京都大学, 理学研究科, 准教授 (50390620)
一本 潔 京都大学, 理学研究科, 教授 (70193456)
磯部 洋明 京都大学, 総合生存学館, 准教授 (90511254)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 宇宙物理 / 太陽物理学 / 光学赤外線天文学 / 宇宙科学 / 超高層物理学 |
研究実績の概要 |
太陽面爆発(フレア)に代表される太陽活動は、地球環境「宇宙天気」に影響や被害を及ぼすことから、宇宙天気を予報する「宇宙天気予報」は、人類文明の緊急の課題である。本研究では、宇宙天気現象の中でも特に巨大な太陽白色光フレアと、最近次々と発見されている太陽型星での「スーパーフレア」、つまり最大太陽フレアの100~1万倍のエネルギーを解放する超巨大フレアとの比較研究を行う。可視光により観測されるスーパーフレアは全て白色光フレアであるため、太陽白色光フレアと太陽型恒星スーパーフレアの両者を観測と理論研究に基づいて比較研究し、白色光フレアの発生機構を解明する。さらにその研究成果に基づき、スーパーフレアが太陽で発生する確率を明らかにすることを目的とする。 28年度は、太陽白色光フレアを積極的に観測・解析した。京都大学飛騨天文台・太陽磁場活動望遠鏡(SMART)に実装された高速撮像装置により、2011年9月に発生した白色光フレアの超短時間変動を追跡した。加えて、新たに低分散分光器をSMART望遠鏡に設置し、太陽全面からの放射スペクトルを広い波長域にわたって取得する環境を整えた。 一方、磁気リコネクションにより生成された高速電子ビームが彩層に突入することにより白色光フレアが形成されたとするモデルが、白色光フレアのモデルとして有力である。このモデルでは、白色光フレア(彩層凝縮層)、低温(一万度)下降流と高温(一千万度)上昇流を説明できる特色があるが、一部の観測で「低温上昇流」が観測されており謎であった。28年度に詳細な1次元流体数値シミュレーションを行い、「低温上昇流」が電子ビームモデルの枠組みで可能であることが判明した。また2次元電磁流体シミュレーションによりループトップの自励振動する多重衝撃波生成が発見された。この振動衝撃波は白色光フレアの原因の電子ビームの加速場所として有望である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
京都大学飛騨天文台・太陽磁場活動望遠鏡に導入された高速撮像装置による、太陽白色光フレアの高時間分解能データを解析、論文にまとめるに至った。太陽白色光フレアの低分散分光観測環境の整備が順調に行われた。数値計算も順調に推進されている。また、これまでの研究成果は、複数の学術論文や多数の学会発表で公表された。
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今後の研究の推進方策 |
太陽白色光フレア、太陽型星スーパーフレア、数値計算それぞれの研究推進は順調に行われいる。今後は、太陽フレアと太陽型星スーパーフレアとの比較研究や、数値計算結果との比較を行い、統一的な理解を目指す。研究成果は、引き続き学術論文としてまとめるほか、学会発表等を積極的に行う。定例のセミナーなどにより、研究代表者・分担者・協力者の意思疎通は十分にできている。
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