研究課題
秒角の空間分解能を持った硬X線撮像観測の実現に向けて、大面積と100ミクロンの位置分解能を兼ね備えた硬X線撮像検出器、特にCdTe半導体両面ストリップ型検出器の開発、研究を実施している。100ミクロンというような狭ピッチのCdTe両面ストリップ型検出器を実現する上での第一の課題は、半導体素子上のストリップ電極と 信号処理用LSIとを電気的に接続する実装方法であり、本年度は、昨年度試作を実施したCdTe半導体素子について、信号読み出しLSIとのワイヤーボンディング接続を実施し、硬X線撮像検出器としての性能検証を実施した。それは125ミクロンのストリップピッチ、片面256本のストリップ、3.2cm角の撮像領域を持つCdTe半導体両面ストリップ型検出器であり、本年度、実験室で放射線源を用いた測定試験を行った。複数ストリップにまたがる信号や両面の信号の様子を調べるためのデータを取得することができたが、未接続になってしまったストリップや隣り合うストリップが結合してしまっている箇所があることがわかり、半導体素子と配線基板の接合、配線基板上の電極形成、ワイヤーボンディングなどの実装作業にさらなる課題があることもわかった。すでに開発済みの250ミクロンストリップピッチ、60ミクロンストリップピッチのCdTe半導体両面ストリップ型検出器を用いて、詳細な検出器応答を調べる測定試験も昨年度に引き続き実施した。特に、高精度の3D SPECT装置をCdTe半導体両面ストリップ検出器を用いて開発している沖縄科学技術大学院大学(OIST)とは、共同で撮像試験を実施した。市販の放射線源では、通常1mm程度の大きさを持った点源しか得ることができないが、OISTでは、300ミクロン程度の点線源を作成することに成功した。それを用いた測定を行うことで、位置検出に関する応答を調べるデータを得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
目標となる硬X線撮像検出器に向けて、順次、試作を行い、評価試験を実施している。結果として、新たな技術的課題が判明してきているが、研究計画は順調に進展している。
これまでで判明した課題を克服するような開発、研究計画を立て、実行していく。試作機を用いて、測定、試験を実施し、性能検証を行う。試験で得られた知見を元に、当初の目標通り、観測装置としての完成度を高めていく。現時点で、研究を遂行する上で問題点はない。
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
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https://doi.org/10.1016/j.nima.2017.11.004
https://doi.org/10.1016/j.nima.2017.10.037