研究実績の概要 |
1) 本年度の大きな成果はさまざまな高速通信の試験ができるオリジナルのボードを完成させたことである。搭載したモジュールはMicroPOD, QSFP+, SFP+, SMA, RJ45で1Gbpsから100Gbpsまでの試験が可能である。MicroPODは3ペア搭載し、そのうち2ペアはかなり近接した配置にすることで、高密度な環境での試験も可能にした。また、FMCを搭載し、FMCモジュールを開発することで、容易に追加検証を行うことを可能にした。FPGA Arria 10はIntelの最新ミドルレンジFPGAで、高速通信可能なトランシーバを複数持つ。 このボードの製作は、KEKのOpen-ItのエンジニアとATLAS実験で液体カロリーメータで同様の電子回路基板を設計した専門家の補助の下で行った。OrCADを用いた回路図の設計は約1.5ヶ月遅れの6月末に完成した。基板の設計は有限会社ジー・エヌ・ディー(GND)に依頼し約6ヶ月で完了し、実際の製作などの2ヶ月を費やし3月初旬に納品された。6ヶ月の中でGNDのエンジニアの方とKEKのエンジニアの方と多数回の議論を会合やメールで行った。 2) ボードに搭載したFPGAとMicroPODデバイスは、ATLAS実験の液体カロリーメータのアップグレードで開発した読み出し基板に搭載されているものと同様のものである。所属する研究室の大学院生は、この読み出しファームウェアの開発を担当しており、その開発の中で高速通信に関する技術を獲得した。この大学院生はATLASグループの代表として、国際会議ANIMMAで開発したファームウェアについてポスター発表を行った。
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