研究課題
2019年度には、高感度な低温ねじれ振り子の実現に向けて、以下の4つの点で大きな進展があった。(1) 冷却装置の試験動作および、ねじれ振り子の低温下での動作。冷却装置の試験動作を行い、30日以内に4K程度まで到達する、という当初の設計を実現する結果を得た。そのうえで、約8K程度の低温下でねじれ振り子を動作させ、その変動を測定することに成功した。(2) 能動防振装置の性能向上。能動防振装置のアクチュエータをレンジの広いものに交換するとともに、支持フレームに起因する共振の影響を抑えることで性能させ、1Hz付近で1/100より良い防振性を実現した。これは国内外の先行研究と比較しても最高レベルの性能と言える。また、角度変動からのカップリング雑音を低減するための、新型の傾斜計の開発も進めた。(3)新型角度センサの開発。光共振器を組み合わせた構成による高感度角度センサを考案し、その原理実証実験を進めた。結果として、想定通り、角度変動に対する感度が向上していることを確認した。(4)ファイバQ値の測定。ねじれ振り子を懸架するためのワイヤには、低機械損失(高いQ値)が求められる一方、ねじれ変動に対する測定例は多くはない。そこでサファイヤなど、低温下で高いQ値が期待される素材のワイヤを入手し、そのQ値測定を系統的に進めた。結果として、常温下でサファイヤファイバを用いてねじれ変動を計測した例としては、われわれが確認した限り世界最高のQ値を実現した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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