場の量子論は素粒子に代表される原子以下の世界を記述する基本言語である。格子場の理論は、この場の量子論の非摂動論的な定式化と解析を可能にする定式化で、素粒子物理学では、強い相互作用のダイナミクスの解明に大きな成果を収めてきた。しかしながら、格子場の理論が時間と空間の格子化を元にしていることから、連続的な時間と空間に付随する並進や回転といった対称性が明白に表現できない。このことは、こうした対称性に付随した物理量の非摂動論的解析に困難を与えている。当研究は、近年我々が明らかにした全く新しいアイデア(グラディエント・フローによる物理量の普遍的な構成)を中心に、この困難を乗り越えようとする研究である。
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