研究課題
前回からこれまでに最も注力したのは、ひとみ衛星の後傾である XRISM 衛星に搭載する新しい広視野X線CCDカメラの開発である。まず、素子製造メーカーから納品された複数のフライト候補の素子の性能を測定し、順位付けした上で、4つのフライト素子を選定した。複数の候補素子を用意したことで、ひとみ衛星に搭載したX線CCDよりも良質の応答を示す素子を選定することができた。また、選定した素子に対して、地上キャリブレーションを実施して、フライト素子の特性を詳細に評価した。この地上キャリブレーションのデータを基に、電荷転送効率による電荷損失分を補正する新しい手法を開発した。これまでは、動作モード毎に現象論的に補正方法をかえていたが、新しい手法では実際の電荷転送過程を考慮し、異なる動作モードにも適用できる首尾一貫した補正方法を確立した。この手法を、NASA/GSFC から提供される補正ソフトウェアに組み込んだ。この結果は国際学会で発表し、論文にまとめた。最終的には、フライト用のエレクトロニクスと共に、フライト用のカメラボディにインストールして、フライト形態での性能の測定までおこなうことができた。これと並行して、すざく衛星で取得した巨大太陽フレアの地球アルベドX線のデータを解析し、他の活動的な星のコロナで見られるような逆 FIP 効果が見られることを明らかにした。逆 FIP 効果とは、第一励起ポテンシャル(FIP)が低い元素が、FIPの高い元素に比べて、相対的に量が少なく観測されることをいう。このデータ解析においては、以前、新しく開発したペデスタルを推定する手法を適用して、元素の量をより正確に見積ることができた。また、強い双極子磁場を持つと見積られている PSR J1208-6238 というパルサーのチャンドラ衛星の観測を用いて、このパルサーが異様に低いX線光度を示していることを示した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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