| 研究課題/領域番号 |
16H03984
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| 研究機関 | 慶應義塾大学 |
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研究代表者 |
新田 宗土 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (60433736)
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| 研究分担者 |
衛藤 稔 山形大学, 理学部, 准教授 (50595361)
小林 未知数 京都大学, 理学研究科, 助教 (50433313)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 対称性 / トポロジー / 場の理論 / 物性論 |
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| 研究実績の概要 |
素粒子物理については素粒子標準模型を超える「新物理」としてヒッグス場を複数個に拡張する２Higgs doublet模型およびブレーンワールド模型について研究を行った。前者については、これまでよく調べられてこなかった位相的なnon-Abelian宇宙紐とドメインウォールの解の構成並びにそれらが与える現象論的インパクトについて詳細な研究を行った。後者については、ブレーン上のボゾニックなギャップレスモードについてフェルミオンとの類似点や相違点を中心に調べ、ブレーンワールドとして自然な模型の構築を行った。他には２＋１次元超対称ゲージ理論のドメインウォールと共存するようなボーテックスについてボーテックス-粒子対応を研究し、また2成分ボース・アインシュタイン凝縮体の渦の閉じ込めのダイナミクスの数値シミュレーションを行った。
超流動現象などを記述する場の理論に存在する量子渦の新奇な性質を明らかにすることを試み、大きく以下の2つの新たな性質を明らかにすることができた。第1に、巻数の高い量子渦の動的安定性を調べ、無限に広い系であったとしても巻き数の高い渦は動的に不安定であることを示すことができた。これはトポロジカルに安定であってもエネルギー的に安定な量子渦の種類は大きく限定されることを意味している。第2に、2つの異なる種類の量子渦が結合して渦分子となるような系において、有限温度における渦分子の束縛ー乖離構造を調べた。渦分子が対称性を破る外場によって形成されるときには、渦分子の乖離がクロスオーバーによって、運動エネルギーのトポロジカルな構造によって形成されるときには、渦分子の乖離が相転移として現れることが明らかとなった。渦分子の束縛ー乖離構造はクオークの閉じ込めー非閉じ込めと同様の構造を持っており、閉じ込め転移の理解に重要な知見を与えることが期待される。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた研究は8割程度遂行できたが、予定していなかった新しい研究が何件も実行できたため。例えば、2ヒッグスダブレット模型における宇宙紐とドメイン壁の解の構成などがそれにあたる。
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| 今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き2成分ボース・アインシュタイン凝縮体の渦の閉じ込めのダイナミクスを調べ、特にQCDの閉じ込め問題と比較することで閉じ込め現象のダイナミカルな側面を通常のアプローチとは全く異なる視点から研究する。また２ヒッグス・ダブレット模型模型におけるトポロジカルな宇宙紐に加えてモノポールなどを調べることで、２ヒッグス・ダブレット模型に存在するトポロジカルソリトンの宇宙論的なインパクトを調べる。この２ヒッグス・ダブレット模型のヒッグスセクターはQCDの高バリオン密度極限で実現するカラー超伝導相とよく似ているため、高密度QCDにおいても同様の位相的ソリトンの存在を調べ、そのようなトポロジカルな配位に特有の現象を見出す。またこれまでの研究成果を整理・総括し、今後の研究の発展につなげる。
中性子星内部の超流動のような、内部自由度を持ち、トポロジカルな超流動の渦に対し、そのトポロジカルな性質および平衡状態における相転移現象に対する量子渦の影響を調べる。また、平衡状態にとどまらず、回転下における渦運動や、熱流があるときの相転移界面の運動、量子渦の複雑な時空間構造によって実現される量子乱流状態を調べ、中性子星の観測結果に対する中性子星のさらなる理解を深める。中性子3P2超流動の渦状態の相図をGinzburg-Landau理論の枠内で決定する。同様の渦状態の解を準古典近似で構成する。3P2超流動の基底状態に現れる3重臨界点の臨界指数を調べる。また、基底状態がサイクリック相やフェロ相になる条件を調べる。3P2相の境界の効果を調べる。それらの中性子星への応用を議論する。
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