研究課題
本研究は種々の異なる実験の新物理探索の結果を統合解析により総合的に解析し、新物理探索の精度を高めることを目的としていた。統合解析に従来の単純な最小二乗法に変えて高度な多変量解析の技法を導入し、より複雑で多彩な実験結果の入力を可能にした上で、種々の新物理モデルの整合性を高い精度で行うことができるフレームワークの開発を行った。このためにまず、ドイツミュンヘン工科大学と協力して、彼らの開発したC++でコーディングされた汎用の新物理モデルEOSをBelle II実験で用いられているイベントジェネレーターEvtGenに組み込んだ。その出力をBelle II検出器のシミュレーションソフトを通すことにより、種々の新物理の効果をBelle II実験で得られるデータに再現できるようにした。この結果は日本物理学会において発表された。これを入力として用いて新物理モデルのパラメータを変化させながら多変量解析をtrainingすることにより、新物理モデルを多変量解析のモデルとして再現した。そこに新物理モデルのパラメータを固定した少量のデータサンプルを実際の実験データとして入力し、regressionによりパラメータを求め、入力パラメータとの相関を調べた。設計どおり動作するならば、これらのパラメータは100%の相関があり、求めたパラメータの値は入力と同一の値をとるはずであった。しかし出力のパラメータは入力とリニアな相関は認められたが、大きなバイアスが観察され、誤差もバイアスが大きくなるほど増加し、正しいパラメータの値を推定することができなかった。この結果は現在調査中であるが、trainingに用いる入力データに偏りがあるためではないかと考えており、より広範囲のデータを扱えるような改良を後続の科研費研究に引き継いでいる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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