研究課題/領域番号 |
16H03995
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
肥山 詠美子 九州大学, 理学研究院, 教授 (10311359)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ハイパー核物理 / 少数多体系物理 |
研究実績の概要 |
ΞN相互作用の研究を行うべく、以下の2件の研究を遂行した。J-PARCで実験が行われた12Cをターゲットとした(K^-,K^+)反応により、11B-Ξ原子核のエネルギー準位の理論的予言を行った。このエネルギー準位と来るべき実験結果と比較することにより、不定性の大きなΞN相互作用の決定に大きく前進するものと期待する。また、軽いΞ原子核であるNNΞ、NNNΞ原子核の少数多体系計算法による3体・4体計算を行った。用いるΞN相互作用は、Nijmegenグループによる現実的核力と格子QCD計算によるΞN相互作用を用いた。これらの相互作用は、スピン・アイソスピン状態によって大きく異なることが興味深い。例えば、Nijgemenポテンシャルによれば、NNΞ、NNNΞの3体・4体系はすべて束縛状態をあ与えるが、格子QCDによるポテンシャルを用いると、NNΞ系は束縛しないが、NNNΞは弱束縛状態を与える。これらの相互作用を良しあしを確かめるには、J-PARCにおける実験、および、重イオン反応による実験が必要不可欠であることを指摘した。これらの2件の業績は、2018年の6月にアメリカにおけるハイパー核物理に関する国際会議において2回のプレナリーセッションで成果発表を行った。さらには、2019年1月のイタリアのボロミオにおける国際ワークショップにおいて、重イオン反応によりNNΞ、NNNΞ系の生成の可能性について議論した。結果、生成は難しいが、不可能ではない回答を得られた。また、NNΞ、NNNΞ系の計算は最終数値結果を出し、現在、この計算についてPhysical reviewCのrapid communicationに投稿すべく、論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究の対象であった11B-Ξの構造計算は順調に進んでいる。また、NNΞ、NNNΞ系についても最終計算は終了し、現在論文執筆中であることから、研究は順調に進んでいる。また、実験家と、未発見NNΞ、NNNΞ系の観測の可能性を議論を始めた。これは、J-PARCでの今後のビームライン拡張計画と大きく関連しており、軽いΞ原子核の生成の可能性に現実味を帯びてきており、早急に、生成反応の計算を行うなど、研究が大きく発展したことから計画以上の進展と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、NNΞ、NNNΞ系の論文執筆を行い、同時に、生成反応断面積の計算を行う。また、NNΞ、NNNΞの3体、4体問題の計算からNΞ相互作用の中のΛΛーNΞ結合相互作用の重要性が浮上した。この研究のためには、ダブルラムダハイパー核の計算も重要になってきた。その一つとして、5ΛΛHのNNNΛΛの5体計算を今後の行うこととする。
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