研究課題/領域番号 |
16H03997
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
友田 基信 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30344485)
|
研究分担者 |
O・B Wright 北海道大学, 工学研究院, 教授 (90281790)
松田 理 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30239024)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | フォノン物性 / メタマテリアル / フォノニック結晶 / プラズモニック結晶 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ナノメートルスケールの厚みをもつ板状の固体を伝搬するGHz周波数領域の弾性波を、人工的なフォノニック構造を使って制御することである。板の曲げ振動波に対して負の有効質量密度と負の有効弾性率を併せ持つダブルネガティブフォノニックメタマテリアルを実証する。さらに、完全フォノニックバンドギャップとプラズモニック共鳴構造を併せ持つ板状のマイクロスケール2次元プラズモニック・フォノニック結晶構造も実現する。 本年度は以下の研究を行った。 1.ダブルネガティブ板曲げ振動メタマテリアルの設計およびシミュレーション、試料作製:市販のシミュレーションソフトであるCOMSOL MultiPhysicsを使って、メタマテリアルの分散関係や有効密度、有効弾性率を計算しながら、実際にマイクロマシニング技術で作製可能な試料の設計を行った。周波数領域の弾性波伝搬シミュレーションにおいて、この構造が特定の周波数帯において負の屈折を起こすことも確かめた。さらに国内の共同研究先に依頼して試料作製を行った。 2.板状プラズモニック・フォノニック結晶の設計および試料作製:市販のシミュレーションソフトであるCOMSOL MultiPhysicsを使って、窒化シリコン膜の上にポリスチレン球が1層並んだ構造について、完全フォノニックバンドギャップを持ち、更に所有しているレーザー波長帯においてプラズモニック共鳴をもつ試料の設計を行った。さらに国内で本試料を作製できる技術をもつグループと共同研究を開始した。 3.任意周波数時間分解イメージング測定系の構築・任意周波数測定に対応したフェムト秒レーザーを用いた時間分解弾性波イメージング測定系を構築した。板状の試料のイメージングも行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.ダブルネガティブ曲げ振動フォノニックメタマテリアルの研究については、当初予定していた複雑で3次元的な試料構造よりもより簡単に作れる、単層の板に単純に貫通穴を開けただけで達成できる試料構造を考案した。さらに国内において試料作製技術を持つグループと共同研究を開始したことにより、試料作製に伴う技術習得の時間が節約となり加速度的に研究が進んだ。 2.完全フォノニックバンドギャップをもつプラズモニック・フォノニック結晶についても、国内において試料作製技術を持つグループと共同研究を開始したことにより、設計した試料作製が可能となる目途が付いた。 3.イメージング実験についても、任意周波数を使ったGHz領域の板の曲げ振動波の測定を行っている。既にZero group velocityという現象の観察を行い、論文準備中である。
|
今後の研究の推進方策 |
試料の設計および試料作製について目途が概ね着いたので、最終年度は実験を中心に行う予定である。 曲げ振動波メタマテリアルについては、東京大学の野村研究室に試料を作製してもらい、第一弾の試料で実験を開始している。今後は、実際に実験を行って出てきた問題点を解決するために、再度試料設計、試料作製、伝搬測定を行い、研究目的を達成する方策である。 プラズモニック・フォノニック結晶については、北海道大学の南本先生に試料作製方法を習い、我々のグループで実際に試料を作り実験を行う予定である。
|