本研究は、プロトン移動型有機強誘電体の持つ強誘電特性(分極特性)を光で高速制御することを目的とする。強誘電体共結晶の一つであるH66dmbp-Hcaに注目し、530nmのフェムト秒レーザパルスで励起した後の分極状態の変化を、試料から発生する第二次高調波発生(SHG)強度をマッピング観測することにより調べた。その結果、観測する表面は単結晶であるにも関わらず、光照射後にSHG強度が瞬間的に増大する領域と減少する二つの領域が存在すること、およびこの光誘起SHG変化の増減は外部からの電界印加によってスイッチできることが分った。これより、光励起で試料の分極ドメイン壁を制御できていることが示唆された。
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