研究課題
H30年度は、超伝導体のCDW 研究を継続して実施し、YBCOのアンダードープ域の電子相図の中でCDW相がどこに出現するのかを確定することが出来た。その結果、量子臨界点と 3次元CDW相の出現が一致する事が確定した。関連物資の研究においては、 LSCO系において、50TまでCDW相のX線回折測定を行い、強磁場領域で飽和しない磁歪効果を見出し、CDWとの関係を検討した。また、YBCO間連系において、磁場誘起CDW相を新たに見出した。これらの結果は、X線自由電子レーザーとパルス磁場を組み合わせた計測手法が超伝導体の強磁場相の研究のための非常に有効な方法であることを確立し、これまでの方法では得られなかった CDWの波数に関する直接的な情報を 40-50 T領域で決定するという新しい地平を開いた研究として価値が高い。2つめの重要な成果として、磁場誘起スピンクロスオーバ転移を示す錯体Mntaaにおいて、粉末回折と発光分光の同時測定に成功したことが挙げられる。回折では、格子定数の変化が明瞭に観測され、一方、発光分光では、スピン数の変化による kβスペクトルの変化が観測された。発光分光は、 X線自由電子レーザーにおけるエネルギーの揺らぎがあっても、測定が可能なため、有用性は極めて高い。同時測定により、転移におけるドメインの大きさについての情報が得られることも実証出来た。また、X線回折においては、単色ビームを用いて、格子定数の時間変化の測定を行い、正常磁歪の領域と磁場誘起相転移の領域を明確に区別する事に成功した。この研究については、国際会議で招待講演を行い、現在論文に取り纏め中である。その他の研究として、グラファイトの磁場誘起CDW相の研究、Ce系の化合物の磁場誘起相転移の研究等を実施した。これらの研究において、 X線自由電子レーザー実験を極低温領域に拡張出来る事を示した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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PHYSICAL REVIEW B
巻: 97 ページ: 224513-1-5
https://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevB.97.224513