研究課題
空間反転対称性の破れとスピン軌道相互作用は近年の物性物理学におけるキーワードである。本研究はスピン軌道結合の大きな5f電子系化合物に焦点を絞り、物質開発を進めながらフェルミオロジーという観点から研究を行うことを目的としている。強磁性超伝導体URhGe、UCoGeについては純良単結晶育成に成功し、シュブニコフ・ドハース効果、熱電能の量子振動現象などを観測した。スピン三重項超伝導で磁場再突入(磁場強化)型超伝導を示す両物質は、磁場とその方向により強磁性ゆらぎがチューニングでき、そのために特異な超伝導相図を示すが、それ以外にもフェルミ面の不安定性という「電子状態のゆらぎ」も重要な役割を果たしていることがわかった。また、空間反転対称性の破れたU3Ni3Sn4の純良単結晶に成功し、そのフェルミ面を明らかにした。バンド計算と極めて良い一致を示し、分裂幅から反対称スピン軌道相互作用による分裂エネルギーを見積もることに成功した。重い準粒子バンドを反映して、分裂幅は比較的小さい。また、alpha branchにおいては、dHvA振動数の角度依存性から多数の分裂が観測された。これは、分裂したフェルミ面の縮退点などを通るorbital crossingによるものであり、フェルミ面上のスピンテクスチャを反映したものとなっている。この研究はハーフホイスラー構造をもつUPt5の純良単結晶育成とフェルミ面の研究に発展した。空間反転対称性の破れを反映してフェルミ面はやはり分裂しており、バンド計算とも良い一致を示す。磁場方向によって多数の分裂が見えており、縮退点あるいは擬縮退点を通るorbital crossingによって、これらが説明できることがわかった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (26件) (うち国際共著 10件、 査読あり 26件) 学会発表 (44件) (うち国際学会 7件、 招待講演 7件)
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