研究実績の概要 |
超高圧下の高温超伝導現象として、昨年度はインターカレートした鉄系超伝導物質の超高圧力下での第2高温超伝導相の研究に向けた実験が大きく進展した。常圧下NMRによる試料評価では過去の報告とくらべ試料の純良性が示された。NMR測定の線幅に影響する不純物を磁石で取り除くことで共鳴線幅が大幅にシャープになることがわかり精密測定が可能となったところで、超高圧力下の第2超伝導相でのNMR測定を行った。超高圧力下の第2超伝導相はミクロに見て常圧下の電子状態とは大きく異なる背景で超伝導が発現していることを示唆する結果を得た。また広帯域低温プリアンプや共鳴回路の工夫を行い、ダイヤモンドアンビルNMR測定およびさらなる超微小試料でのNMR感度上昇へつながる開発を行った。超高圧下でのTcの再上昇が報告されている多層型銅酸化物高温超伝導に関しては、過去に例のないほど超低ドープした単結晶を用いてNMR測定を行うことができた。これまでにない磁気と超伝導が絡むた新しい基底状態を発見し、現在さらなる追究を進めている。それらの成果を含めた一連の研究成果は、査読付き学術論文4編(うち国際会議抄録2編)、国内外の会議・研究会(24件)などで発表している。以下に代表的学術論文の成果を示す。〔学術論文1) T. Kouchi, H. Mukuda, et al. J. Phys. Soc. Jpn. 88, 113702 (2019)(査読有)〔学術論文2) F. Sakano, H. Mukuda et al., Phys. Rev. B, 100, 094509 (2019)(査読有)
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