研究課題/領域番号 |
16H04025
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
早川 尚男 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (90222223)
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研究分担者 |
川崎 猛史 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (10760978)
大槻 道夫 島根大学, 総合理工学研究科, 講師 (30456751)
齊藤 国靖 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (10775753)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シアシックニング / レオロジー / ジャミング転移 / 非ガウスゆらぎ |
研究実績の概要 |
本年度は研究代表者、研究分担者全員を集めた研究連絡会を3回、更に外国人を含めた40名弱の参加者のあった、研究課題名と同タイトルの基研研究会を開催し、本研究課題に関した研究を推進した。特筆すべきは研究分担者である齊藤国靖が第11回日本物理学会若手奨励賞の栄誉に浴した点である。 本年度は印刷中を含めメンバーの査読付きの出版論文は15(うち謝辞記載ありは9)、投稿中のプレプリントは4等であった。また国際会議で9つの招待講演(うち6は海外)等をこなし、更に直接課題には関係ないが代表者の教科書「非平衡統計力学」が再販されるようになった。 主な研究成果として、(1)シアシックニングにおける運動論による記述の進展、(2)ジャミング転移における粒子間摩擦力の効果の数値的検証、(3)非ガウスゆらぎの半古典論による量子効果の採り入れ、(4)高密度粉体剪断系での乱流の統計則、(5)振動剪断高密度粒子系の吸収相転移の数値的研究等である。 交付申請書との関係で研究成果を説明するとシアシックニングの理論に関しては稀薄サスペンションの論文は投稿中であり、有限密度系の理論もほぼ完成して論文作成中である。濃厚系での粒子間摩擦の効果については準備的な論文を一つ著した。また非ブラウニアンサスペンションの理論もほぼ完成しており、現在論文執筆中である。一方でトレーサー粒子に働く抵抗力の研究は止まっており、更に非ガウスノイズに駆動された多体系の統計力学理論に関して概ね完成した段階で論文執筆に至っていない状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に記した通り、研究グループメンバーの連絡は緊密に行われており、また順調に主としてレオロジー関係の論文や招待講演等のアウトプットは出ており、特に申し分のない進捗状況である。その一方で、非ガウスゆらぎの研究の進展はやや遅く、交付申請に書かれたトレーサー粒子に働く抵抗力の関する研究はストップしている。更に一年前の時点で予想されていなかったような大発見はなかったのがやや残念である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度と同様に代表者、分担者が一同に会した連絡会を年3回程度開催し、研究連絡を行うと同時にメンバー間の共同研究を推進する。それと同時に1年に1回程度オープンな研究会を開催して、研究成果を世に問う予定である。 具体的な研究課題については上記研究連絡会や研究会等でメンバーが集まって議論しながら進めていく予定である。差し当たってはシアシックニング理論の完成、濃厚サスペンションのレオロジー理論の完成、ジャミング転移とパーコレーションの関係や摩擦力の効果を明らかにすること、吸収相転移の理論の完成等、非ガウスノイズに駆動された多体系の理論の完成を目指していく。
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