高温の金属蒸気を光ポンピングし,光から金属原子に与えた角運動量を物質に移す. セシウム原子で原理検証した手法を実用化するため,リチウム原子と銀原子を使って固体へ角運動量を移し,輸送し,取り出すことをめざした. リチウムと銀は物質中で移動度が大きいからである. 研究期間はおもに,高温の金属蒸気の安定な発生のための合金蒸気密度の研究と高温容器の開発,スピン拡散の大きさを決める気体中の拡散係数の測定,原子のスピンダイナミクスなどの実験を行った. 特に,リチウム原子の超微細分裂周波数の測定は,量子干渉効果を利用した分光であり,正確に周波数を求めることができ,また,原子磁力計への発展の可能性も見出せた.
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