研究課題
基盤研究(B)
気泡を含む熔融マグマの動的粘弾性測定を高温常圧条件下で行った。その結果、Qが温度に依存すること、高い気泡含有量はマグマの剛性率と破壊強度を著しく低下させる事がわかった。一方、粘性率の気泡含有量依存性は剛性率程には大きくない事がわかった。低い剛性率は地震波と亀裂の伝播速度を遅くする。高気泡含有量のマグマの破壊強度が低い事は気泡含有量が80vol.%を超える噴出物があまり見られない事と整合的である。
火山学
本研究により得られた最も重要な成果は、マグマのQが温度に依存する事、剛性率が気泡含有量に寄る事である。Qは地震波の減衰で見積もる事ができ、また、剛性率は地震のS波伝播速度を変える。この結果は地震観測を用いて噴火前のマグマの温度と気泡含有量を推測できる可能性を示している。その実現の為には、より広いパラメータ範囲における精度の高いマグマの粘弾性測定が必要である。