研究課題
地球磁場変動は大きな強度変化も伴うが、その変化については、現在までに過去約 200-300 万年間の強度相対値連続変動が解明された状態に留まっている。すなわち、逆転頻度が 100 万年あたり 4-5 回という、地球史で見れば「現在」の熱境界条件下での変動が解明されたに過ぎない。本研究では、100 万年あたり 2 回という低逆転頻度を示す過去約3500~4200 万年間、つまり、「現在」とは熱境界条件が大きく異なる期間について強度連続変動の解明に取り組むことを目的としている。今年度までに、IODP Site U1403, U1408, U1409, U1410 u-channel 試料の自然残留磁化(NRM), 非履歴性残留磁化(ARM), 等温残留磁化(IRM)の測定を完了した。これらの試料の詳細なNRM測定結果をまとめ、掘削船上でのNRM初期分析結果に基づく古地磁気極性層序を更新し、その報告論文を投稿した。船上での結果に比べて特に負の伏角が明瞭に認識できるようになった結果、クロン境界の深度をより精密に決定できるようになり、多くのクロン境界は船上での決定深度と1m以内の違いに収まるものの、幾つかの境界は1mを超える差が生じたことや、船上では決定できなかった新たなクロン境界の深度を決定できたことを報告している。併せて、この報告論文によるデータを基礎とする、中期始新世の astronomical timescale の精緻化に関する共著論文を投稿した。平行して、マイクロ波着磁/消磁システムの改良のため、導波管部品の一部選定と購入を行った。
3: やや遅れている
海底堆積物の残留磁化測定とデータ解析は順調であるが、火山岩試料の選定と、マイクロ波着磁/消磁システムの改良が進んでいないため。
IODP Site U1403, U1408, U1409, U1410 u-channel 試料の各種残留磁化測定の結果の詳細解析を進め、過去約3500万年前~5000万年前の期間の古地磁気強度相対値連続変動の復元に取り組む。マイクロ波着磁/消磁システムの改良についても、平行して取り組む。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Earth Planet. Sci. Lett.
巻: 486 ページ: 94-107
10.1016/j.epsl.2018.01.003