研究実績の概要 |
地球磁場変動は大きな強度変化も伴うが、その変化については、現在までに過去約 200-300 万年間の強度相対値連続変動が解明された状態に留まっている。すなわち、逆転頻度が 100 万年あたり 4-5 回という、地球史で見れば「現在」の熱境界条件下での変動が解明されたに過ぎない。本研究では、100 万年あたり 2 回という低逆転頻度を示す過去約3500~4200 万年間、つまり、「現在」とは熱境界条件が大きく異なる期間について強度連続変動の解明に取り組むことを目的としている。
前年度までに測定を完了した IODP Site U1403, U1408, U1409, U1410 u-channel 試料群(約700本)について整理と梱包を行い、ドイツのブレーメン大学のコアレポジトリーへ航空貨物で輸送し返却した。これらの試料の自然残留磁化(NRM)・非履歴性残留磁化(ARM)・等温残留磁化(IRM)などのデータ解析をさらに進め、とくに Site U1403 および U1408 の 2 地点について、一定の岩石磁気的均質性を満たす深度区間から最終的な古地磁気強度相対値(RPI)連続変動の推定を行った。
極性クロン C18 (38.5-41.1 Ma), C19 (41.1-42.9 Ma), C20 (42.9-46.4 Ma), C21r (47.8-48.6 Ma), C22n (48.6-49.3 Ma)についてRPI連続変動を推定することができ、クロン境界においては常にRPIが著しく弱くなること、クロン内においてはRPIは強弱の大きな変化幅で変動することといった特徴を確認できた。これらの特徴は、これまでに報告されている 41 Ma にまで遡るRPI記録について報告されていたが、本研究の結果により、少なくとも 49.3 Ma にまで遡る RPI 変動の特徴であることが分かった。
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