海溝軸からアウターライズ領域で得られた海底地震観測データを用いて、海洋地殻・マントルの地震学的構造を解析し、海洋プレートに水がどのようにとりこまれ、沈み込み帯深部へと輸送されていくのかを明らかにすることを目指した。トモグラフィ解析からは、海溝海側の海洋性マントル最上部の地震波速度は海溝軸に近づくにつれて全体的に低下しており、最大1-3%程度の水が取り込まれる一方で、地震活動と関連した不均質構造を持っていることを示した。また、スラブ内を伝播する地震波を使った解析からアウターライズ領域ではプレートの屈曲によって新たな亀裂が形成され、地震波速度異方性が発達していることがわかった。
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