研究課題/領域番号 |
16H04046
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
早坂 忠裕 東北大学, 理学研究科, 教授 (40202262)
|
研究分担者 |
谷本 陽一 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (00291568)
万田 敦昌 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (00343343)
河本 和明 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (10353450)
川合 義美 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 主任研究員 (40374897)
須賀 利雄 東北大学, 理学研究科, 教授 (70211977)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 雲 / 大気海洋相互作用 / 北太平洋 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、衛星搭載の雲レーダー、ライダーの観測データ、Argoフロートデータが全て利用できる2006年以降の5~10月(2006年は6~10月)を対象に、夏季北太平洋の大気、雲、放射 、降水量、海面熱収支、海面水収支、海洋混合層に関する現状を明らかにした。また、6月に「 白鳳丸」による大気・海洋の観測を実施した。 (1) 各種衛星データの収集とその予備解析を行った。広域を観測できる受動型衛星センサーであるMODISの解析 から、対象領域における雲量・雲の光学的厚さ・雲粒有効半径の変動を解析した。また、OISST海面水温データとの比較から、海面水温前線と下層雲の南端が対応していること、また、両者は1980年代から現在までの間に北上する傾向を示していることが示された。 (2) 6月の「白鳳丸」航海において亜寒帯前線付近でラジオゾンデ、シーロメーター、放射計による観測を行い、高層気象データや雲底データ、および海洋表層の水温・塩分データを取得した。また、過去の船舶観測データの収集を行った。 (3) 北太平洋域の2006年以降のArgoフロートのデータを収集し、混合層深度、混合層の水温・塩分、季節躍層の強度・厚さ、成層への水温・塩分に関するデータセットを作成した。 (4) 領域大気モデル (WRF)を用いて、衛星観測データの解析期間と同時期の夏季北太平洋の中高緯度帯の下層雲および上層雲の再現実験を行った。その結果下層雲は比較的良く再現されるが、雲の多層構造の再現については不十分であることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
衛星データ解析は順調に進んでいる。また、船舶観測も観測自体は成功し、データが取得されている。これらの各種観測データ解析から、夏季北太平洋における海面水温前線と下層雲南端の長期変動(北上傾向)が見出された。一方で、領域モデルによる雲の数値シミュレーションについては、雲の多層構造の再現で不十分な点が見られ、各種観測データと比較することにより新しい知見を得るまでに至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き各種観測データ解析を続けるとともに、領域モデルによる多層運の再現と観測データを併せた解析を行う。また、下層雲南端と海面水温前線の長期変動については、海洋混合層の熱収支を進めることにより、実態をより詳細に解析し、その対応、変動メカニズムを明らかにしたい。
|