研究課題/領域番号 |
16H04048
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 裕亮 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70415991)
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研究分担者 |
横井 覚 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 大気海洋相互作用研究分野, 主任研究員 (40431902)
佐藤 薫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90251496)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マッデン・ジュリアン振動 / YMC / 海洋大陸 / 雨滴落下 |
研究実績の概要 |
2017年から2018年にかけて海洋研究開発機構が主導的役割を果たしている国際研究プロジェクトYMC(Years of Maritime Continent)において研究観測船「みらい」による海上観測とスマトラ島での陸上観測が連動した集中観測が行われ、様々な観測データが取得された。観測データの整備を進めるとともに、そのデータの解析に取り組んでいる。 一方、全球雲解像モデルNICAM (Nonhydrostatic Icosahedral Atmosphere Model)によるMadden-Julian Oscillation (MJO)のシミュレーションでは、雲内での水蒸気の凝結や降水過程を表現する雲微物理過程のうち、特に降水物質の落下速度がMJOの再現性に大きく影響することが経験的に分かったため、降水物質の落下速度について、チューニングに頼らずに物理的に正しい設定を可能とするための手法開発を行っている。雨滴が変形しながら落下する過程の第一原理計算のために、埋込み境界法を用いたシミュレーション手法を改良し、独自のシミュレーションコードを開発した。この研究により、NICAMをはじめとする標準的な雲解像モデルでは、雨滴落下速度が過大評価されていることが分かった。しかしながら、現在のシミュレーションコードは、2次元または軸対称な雨滴への適用に限られており、カオス的な挙動を示す大きな水滴への適用ができない。そのため、3次元への拡張を意図し、雨滴表面の再構築にベジエ補間を用いる新手法を開発した。 さらには、NICAMにおいては地形性降水の計算が十分な水平解像度で計算できない問題があるため、その解決を目指してNICAMと同じ格子を用いても水平解像度のより高い計算が可能な新しい水平離散化手法を正20面体格子に実装し、浅水モデルにおいてより制度の高い計算が実現できることを確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
YMC観測データの解析とNICAMによる数値計算準備について、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
海洋大陸上のマッデン・ジュリアン振動の振る舞いについて、YMCデータの解析を進める。また、数値シミュレーションや理論モデルを用いて、降水システムの階層性について仮説モデルの検討を進める。
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