研究課題
本研究は、南西諸島およびフィリピンのドップラーレーダーを用いて、台風の気流構造と中心気圧を推定し、構造と強度の関係を明らかにすることを目指す。当年度に南西諸島の観測範囲を通過した2つの台風について強度推定を行い、推定結果を検証した。また、2018年7月に台風10号が沖縄本島を通過した際にラジオゾンデ観測を実施し、目の中心における暖気核の存在を明らかにした。また、台風24号についてレーダーと地上気象データを用いた解析を行い、目と壁雲の境界付近で「メソ渦」が発達し、地上の突発的な暴風をもたらしていたことを明らかにした。フィリピンにおいて壊滅的な被害をもたらした2013年台風第30号について、大気海洋結合モデルを用いた数値実験を行った。この台風は移動速度が比較的速く、海洋表層の水温が暴風による混合で冷却され、海面フラックスが減少するよりも前に台風が進行することで、海面からのエネルギー供給を継続的に受けることができ、それによって衰退することなくフィリピンに上陸したことを明らかにした。この論文は米国地球物理学連合学会の雑誌に掲載された。また、2016年台風第1号に伴うレインバンドの伝搬とシールド状の降水域の形成を大気海洋結合モデルにより再現した。フィリピンに上陸する猛烈な勢力の台風の強度解析を行うため、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)との間で共同研究を継続した。ルソン島北部に上陸した台風第22号について、レーダーを用いた強度解析を行うとともに、レーダーサイトに設置した気圧計の解析を行った。ドップラー速度の折り返しが発生する暴風域において、レーダーのハードウェア上で行われる平滑化処理が強度推定の処理おいて不具合をもたらす問題がみられ、ハードウェアの設定変更について今後PAGASAと協議する必要があることがわかった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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