研究課題
オパールガウジについて封圧150 MPa、間隙アルゴン圧50 MPa、温度25~200℃、軸方向変位速度0.1~10 μm/sの条件で変位速度急変摩擦実験を行い、間隙水圧下の同一条件で行った昨年度の実験結果との比較を行った。実験の結果、間隙水圧下の実験と同様に、温度上昇に伴う定常すべりからすべり硬化への変化、摩擦強度の増大傾向、(変位速度の増加または低下に伴い定常摩擦係数が増大または低下する)速度強化の挙動から(変位速度の増加または低下に伴い定常摩擦係数が低下または増大する)速度弱化の挙動への遷移、そして150℃以上の温度で(地震性断層運動に対応する)固着すべりが観察され、固着すべりは高温・低変位速度ほど顕著であった。変位速度急変前後の摩擦データを変位速度・状態依存摩擦構成則によりフィッティングした結果、間隙水圧下の実験と同様に、定常摩擦係数の変位速度依存性に関係する定数aに温度や変位速度による有意な変化傾向は認められず、定常摩擦係数のすべり面の状態(時間)依存性に関係する定数bに温度上昇または変位速度低下に伴う増加傾向が認められ、その結果、a - b(定常摩擦係数の変位速度依存性の指標で、正(速度強化)の場合断層運動は安定(非地震性)で、負(速度弱化)の場合に限り固着すべり(地震性断層運動)が起こる)に温度上昇または変位速度低下に伴う減少傾向が認められた。また、定常摩擦係数にも温度上昇または変位速度低下に伴う増加傾向が認められた。このような摩擦挙動の温度・変位速度による変化は、間隙水圧下で行った昨年度の実験結果より小さいものの、全体的な傾向は類似していた。圧力溶解は含水条件でなければ活動しないが、オパール試料自体にも数wt%の水が含まれるため、間隙アルゴン圧下においても活動し、上記のような摩擦特性の温度・変位速度依存性が現れたものと考えられる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Tectonophysics
巻: 784 ページ: 1~14
10.1016/j.tecto.2020.228429