研究課題/領域番号 |
16H04065
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 為人 (リンウェイレン) 京都大学, 工学研究科, 教授 (80371714)
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研究分担者 |
橋本 善孝 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 教授 (40346698)
濱田 洋平 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 研究員 (80736091)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 応力 / 地震断層 / 掘削 |
研究実績の概要 |
東北地方太平洋沖地震と兵庫県南部地震は過去20年の間に発生し、また、熊本地震は本科研費研究がスタートした直後の平成28年4月に発生した。一方、南海トラフではM8クラス以上の大地震が今世紀中に発生する可能性が極めて高いと懸念されている。繰り返し発生する地震のサイクルにおいて、応力が地震の発生後から次の地震までの間震期に震源断層とその周辺に蓄積して、地震時に急激に解放すると定性的に示されているが、定量的な応力と地震の関係は未だに未解明のままである。本研究の目的は、上記の地震の震源断層の大深度掘削において、信頼性の高い応力測定を実施するとともに,得られる応力場の測定結果と既往関連研究の成果とを総合して、応力と断層活動の関連性の解明に挑戦することである。 平成29年度には、前年度に新規構築した非弾性ひずみ回復(略称ASR)の計測システムにより、引き続き野島断層掘削で得られるコア試料を用いて、三次元応力計測を行った。まず、原位置実験室において、野島断層を貫通するメインホールNFD-1孔の枝掘りであるNFD-1-S1孔とNFD-1-S2孔の掘削コア試料を用いて、深度20mごとに1試料の頻度で、高密度な測定を行った。次に、ASR測定済みのコア試料を再成形し、実験室にて非弾性ひずみのキャリブレーションテストを実施して、非弾性変形のコンプライアンスを定量的に評価する手法を確立した。鉛直方向の応力値が上載岩層の密度積分に等しいという条件に基づいて、非弾性ひずみ回復量とコンプライアンスにより信頼性の高い応力の絶対値を評価した。また、コア試料に含まれるフラクチャーと、検層の孔壁イメージデータ中のフラクチャーを抽出して、両者のパターンマッチングを行い、コア試料の定方位化に成功した。さらに、コア径変形法によりコア試料の直径を測定して、コア軸と直交する平面内の二次元主応力方向と差応力の絶対値を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた研究の内容は、ほぼ当初の計画通り実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定の野島断層掘削の研究内容を推進するほか、本研究の開始直後である平成28年度4月に発生した、熊本地震の震源断層である布田川断層の掘削コア試料を用いて、応力計測を本格的に実施する。
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