研究課題
本研究では,ちきゅうNGHP-02航海にてベンガル湾西部の大陸斜面で掘削・回収された後期更新世コアに挟在する火山灰層の地質学的,地球化学的検討を行ってその火山灰層の特定を行い,その前後での気候変動について検討した.堆積物から取り出した浮遊性有孔虫の酸素同位体から,火山灰層の年代がおよそ7万年~7万4000年前であることが判明した.また,火山灰層から分離した火山ガラスの主要元素,微量元素組成の測定,さらに火山灰層の全岩希土類元素分析,全岩Sr, Nd, Pb同位体分析の結果,この火山灰層がインドネシア・スマトラ島で約7万年前に噴火したトバ火山の新期噴火に起源をもつテフラ(Younger Toba Tephra; YTT)であることが判明した.このYTT火山灰層の直上,直下の泥質堆積物を1 mm間隔でサンプリングし,その試料から有機溶媒を用いて有機化合物を溶出させた.その有機化合物からアルケノンを分離して不飽和度からアルケノン古水温を復元した.その結果,YTT火山灰層近傍の層準で特異なアルケノン古水温が得られた.この得られた古水温が,本当に古水温を反映しているのか,他の要因によるものなのかを慎重に検討した.その結果,極端にアルケノン収率の低い試料を除けば統計的に意味のあるデータであり,十分な収率が得られた試料の多くは古水温を反映していると考えられる.また,陸上植物由来のアルケノンの寄与や,火山灰層を含む堆積物の生物擾乱の影響も併せて評価した.この結果から,高い信頼性で古水温を復元できることが判明した.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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