研究課題/領域番号 |
16H04068
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
岡田 誠 茨城大学, 理学部, 教授 (00250978)
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研究分担者 |
堀江 憲路 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (00571093)
菅沼 悠介 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (70431898)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地磁気逆転 / 松山ーブルン境界 / U-Pb放射年代 |
研究実績の概要 |
本課題研究の目的は,房総半島中央部に分布する上総層群国本層中部の千葉複合セクションの堆積岩試料を用いて,M-B境界年代をこれまでにない高い確度で精密に決定することである.そのため初年度には,層厚40mほどの当該層準より試料採取を行い,古地磁気分析および酸素同位体測定用の有孔虫抽出を行うとともに,放射年代測定用の火山灰試料採取, ID-TIMSを用いた単結晶ジルコン U-Pb年代測定とレーザー段階加熱単結晶40Ar/39Ar年代測定を行う予定であった. これらの作業のうち,試料採取はほぼ完了し,古地磁気測定が70%程度,酸素同位体測定が50%程度終了した.その結果,M-B境界を挟む80万年前~76万年前の区間における高解像度酸素同位体層序の復元を行い,予察的なM-B年代の天文年代が771.7ka算出された.また同区間における地磁気の見かけの緯度変化および相対古地磁気強度変動を高い精度で復元することに成功した.これは世界で最も詳細なM-B境界における相対古地磁気強度記録である (Okada et al.,2017: DOI 10.1186/s40623-017-0627-1 ).加えて,天文年代算出をより確実なものとするために,古気候・古海洋変動のグローバルな対比を試みた.そのため当初の予定に無かった花粉化石分析の依頼を行い,当時の古気候変動が詳細に復元されつつある (Suganuma et al., in prep.). 以上のように,M-B境界周辺における古地磁気変動復元および,古海洋・古気候変動復元による天文年代の算出に関しては大変順調な進行状況である.しかし当初予定されていた,テフラの放射年代測定(ID-TIMSを用いた単結晶ジルコン U-Pb年代測定とレーザー段階加熱単結晶40Ar/39Ar年代測定)については遅延しており,H29年度に実施予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度および次年度に予定されていた作業の多くを占める,現地調査・岩石試料の採取・古地磁気測定・有孔虫抽出作業および酸素同位体測定については,大半を終了することができた。また天文年代算出をより確実なものとするために,当初の予定に無かった花粉化石分析の依頼を行ったことで,天文年代算出の精度は上がりつつある.しかしそのため,テフラの放射年代測定が遅延した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,古地磁気測定・酸素同位体測定を完了させることと,昨年度実施できなかったテフラの放射年代測定を実施することで,昨年度生じた研究計画の遅延を解消し,計画年度内の研究完了を可能にする.
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