研究課題
基盤研究(B)
不純物分子を含むアモルファス氷は星間分子雲や原始惑星系円盤に最も大量に存在する固体物質である.それに紫外線が照射されると,アミノ酸,糖,核酸塩基などが生成されることが知られている.しかし,紫外線の照射を受けた氷の物性に関しては研究がなかった.そこで,本研究では,アモルファス氷に10Kで紫外線を照射し,それを加熱する際の変化を光学顕微鏡および透過型電子顕微鏡で観察した.その結果,不純物を含む氷では65~150Kで,アモルファスH2O氷では50-140Kで,液体的挙動をすることがわかった.
地球惑星科学
これまで,アモルファス氷は固体であり,紫外線照射によって変化することはないと考えられてきた.しかし,本研究の発見によりこの常識は覆された.また,この結果は,液化した氷(水)中では光化学反応が格段に速く進むこと,これらの微粒子同士の付着成長が促進される可能性があることを示している.これまでの惑星科学の常識を見直す必要があることを示している.