研究課題
磁化プラズマ乱流中での分布関数揺動の位相空間上の微細構造形成について、2019年度までに実施したジャイロ運動論的シミュレーションの結果を整理するとともに、研究協力者と結果の検討並びに議論を行なった。そこから、衝突周波数のより低い場合について追加のシミュレーション及びスペクトル解析を実施する必要性が明らかとなった。そこで実空間3次元・速度空間1次元を扱うイオン温度勾配乱流の非線形ジャイロ運動論的シミュレーションとその位相空間スペクトル解析を追加実施し、これまでの解析と合わせて以下の結果を得た。(1) 粒子間の衝突周波数が十分低い場合には、速度空間についてエルミート関数展開(次数n)した揺動分布関数スペクトルが、1/nに近い分布を示すことを見出した。一方、衝突周波数の大きなケースでは、1/nよりも急峻なスペクトル構造を持つことが確認された。(2) シミュレーション結果からエントロピー伝達関数を求め、慣性小領域に類似して、nについてほぼ一定の分布を持つ領域を同定した。(3) 磁場垂直方向の対流運動にともなう非線形相互作用を通じ、磁場平行方向にも高波数の成分が生成されることを実空間3次元のシミュレーションで検証した。(4) 上記の磁力線平行方向の波数分布形成が、パッシブ・スカラーの乱流混合理論と整合することを確認した。また、上記の研究から派生して、分布関数の強い変形過程を解析するための新たなシミュレーション手法を開発した。以上により、研究目的である無衝突プラズマ乱流における揺動分布関数の位相空間構造形成過程の解明に迫る成果を得ることができた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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