Pt6およびPt7の環状錯体に対してAg+イオンを安定に導入できることを確認した。この結果を踏まえ、Pt6AgおよびPt7Ag前駆体をカーボン担体であるKetjenblack(以下KBと略)へ担持し、水素3%/窒素97%気流下250℃で加熱焼成することで対応するAg1原子ドープPt担持クラスターの合成を行った。得られたクラスターは原子分解能HAADF-STEMやXPSにより確認した。特にHAADF-STEMを用いることで、クラスター一つ一つに含まれる原子数をカウントしヒストグラムを作成した。観測されたクラスターはPt6Ag1の場合、合計7原子の輝点がSTEMで最も多く観測された。1原子の増減はいくらか観測されているものの、AgをドープしていないPt6のクラスターとヒストグラムを比較することで、目的のクラスターが設計通り得られてることを確認した。 今後、純度に関してはよりカウント数を増やして詳細な検討が必要であるが、現時点で世界最高レベルの精密担持合金クラスターがmgスケールで得られていると判断される。純度をさらに高めるために担持濃度や加熱温度、時間の最適化を行う。すでにPt5-12原子クラスターの触媒活性についてはHER(水素発生反応)で構成原子数依存性が明確に発現することが判明している。Ag1原子ドープクラスターのHER活性を評価することで、元素の特性がどのように変化したのか確定することができる。
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