研究課題
フラストレート効果、層状構造・鎖状構造などの低次元性との組み合わせ、異常な遍歴電子物性を示す可能性を有する新規の低次元遍歴電子遷移金属物質群を探索・合成し、その新規電子物性についてマクロ・ミクロの両面から明らかにするため、無機固体物性化学的な基盤研究を行った。A(Co-Fe)2B2 (A=アルカリ、アルカリ土類、希土類;B=Se, P, As)系を中心とした二次元遍歴電子系では、系統的な合成および単結晶育成を行った。エキゾチック超伝導では超伝導転移温度TcとT0との直線関係について拡張し系統的に議論した。二次元遍歴電子強磁性については、スピンゆらぎの観点から解析を行い、有効磁気モーメント、自発磁気モーメント、キュリー温度、スピンゆらぎのエネルギー幅T0の間に、3次元遍歴系に成り立つユニバーサルな関係から、その係数が小さい方向にずれることを系統的に確認し、理論的な二次元的遍歴電子系の振る舞いが実験的にも成り立つことを明らかにすることができた。この関係は、LaCo2P2やLaCo2As2でも成立していることを確認し、遍歴電子の統一理論のへと向かっていることをして示している。したがって、スピンゆらぎの観点から本系の系統的な二次元遍歴電子の振る舞いの統一的な理解に近づいたが、導入したハイパワー核磁気共鳴装置の確立によって、それを用いたスピン格子緩和率(1/T1)測定と解析法の確立によってなされた結果であり、二次元遍歴電子磁性と超伝導の振る舞いを、スピンゆらぎのエネルギー幅のT0などのスピンゆらぎパラメータによって説明できることを確立したと言える。さらに、これらの系ではその磁気秩序状態で非常に大きな異方性(大きな異方性磁界の存在)が観測された。また、Se系、P系とAs系で、その異方性の方向が面内と面直と全く異なっていることが明らかになり、実用上でも重要な結果である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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