本研究の最終的な目的は、誰もが簡単に使えるフェムト秒ファイバーレーザーを光源に、1 mm程度の高深度までの三次元生体イメージングシステムが低侵襲に行えるシステムを完成させることである。 平成29年度までの研究で、(1)発振波長1030 nmのフェムト秒ファイバーレーザーにより生きた細胞内で二光子励起蛍光を示す、(2)生体に有害な有機溶媒を使用することなく細胞や組織を染色するのに十分な水溶性を示す、(3)組織深部からの蛍光を低侵襲で観察することが可能な波長800 nm以上にまで蛍光帯が延びている、という条件をすべて満たした蛍光プローブを10種類以上開発することができた。また、開発した蛍光プローブの性能を最大限発揮させることができる二光子励起顕微鏡の開発も完了した。 そこで、平成30年度は、当初の計画に沿って、高深度イメージングの実証に取り組んだ。開発した蛍光プローブによりゼブラフィッシュの稚魚を染色した。稚魚は染色しても数日間にわたり生き続け、有害性の低さが裏付けられた。また、厚さが1 mm近い稚魚の身体全体のイメージングも行う事ができ、当初の目的は達成できた。 この研究の過程で、高感度なイメージングシステムを用いれば、ファイバーレーザーによる三光子励起過程を用いても、十分に明るいイメージングが行えることも明らかとなった。ファイバーレーザーにより三光子励起が可能な蛍光プローブは多数あるので、ファイバーレーザー励起によるイメージングが行える対象を格段に拡がることも明らかにすることができた。
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