研究課題
研究代表者らは、電界効果トランジスタ(FET)の材料として有機Mott絶縁体を用いると、非常に高いデバイスのスイッチング性能が得られることを既に見いだしており、本課題ではその室温動作のために「単分子層のみ」を活性層としたトランジスタ開発を目指している。本年度は高い分子配向が期待できる液晶性単分子膜の膜質改良および物質探索を試みた。昨年度用いた液晶性TTF誘導体について、アルキル鎖の長さを変えながらアニーリング温度等の条件検討を行い、FET性能の最適化を行った。その結果、C12とC14の鎖長の分子を混合することによって、良好なFET性能を有する単分子膜が得られることが明らかとなった。次にこのFETに対してF4TCNQを用いてドーピングを行ったが、単分子膜構造を保持することや、F4TCNQの量を精密に制御することが困難で、Mott-FETとしての動作が不安定であることが明らかとなった。そこで単分子膜構造を保持するためにアルキル鎖の末端にButadiene骨格を有する分子を合成し、光重合反応による単分子膜の安定化を試みた。末端にButadieneを有する分子は、重合前でも良好なFET特性を示したため、そのまま光照射による重合を行った。いくつかの手法によって、重合反応の進行を確認することができた。この単分子膜に対してホールドーピングができれば、安定的に単分子層からなる室温動作Mott-FETが得られると期待される。一方でアクセプター分子であるperylenetetracarboxylic diimideを用いた単分子層Mott-FETの開発にも取り組んだ。こちらの場合にはカリウムドーピングにより単分子膜の構造が崩れて電荷移動錯体が結晶化する様子がプローブ顕微鏡により確認された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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