研究課題/領域番号 |
16H04152
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 敏文 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80291235)
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研究分担者 |
山本 拓矢 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30525986)
磯野 拓也 北海道大学, 工学研究院, 助教 (70740075)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミクロ相分離 / 自己組織化 / ブロックコポリマー / 特殊構造高分子 / 星型高分子 / 環状高分子 |
研究実績の概要 |
本研究は、分岐構造および環状構造などを有する特殊構造ブロック共重合体(BCP)を精密合成し、各ポリマー構造とミクロ相分離構造の相関関係を系統的に明らかにし、5~10 nm程度の解像度を実現可能なBCPリソグラフィー技術への応用を目標とする。本年度は以下の主に3点を検討した。 ①オリゴ糖(Aセグメント)とポリデカノラクトン(Bセグメント)からなるABA型、A2BA2型、A3BA3型のブロック共重合体をリビング開環重合とクリック反応の組み合わせによって合成した。これらのBCP中のAとBの分子量は同程度としており、純粋に分岐構造の違いがミクロ相分離挙動に与える影響を調べた。小角X線散乱によりミクロ相分離構造を評価した結果、ABA型BCPはスフィア状、A2BA2とA3BA3型のBCPはシリンダー状のミクロ相分離構造を呈することが判明した。また、そのドメイン間隔はいずれも十数nmの非常に小さい値であることが確認できた。このように、糖鎖部位の分岐構造を調節することで10 nmスケールの極めて微細な領域においてミクロ相分離を制御することに成功した。 ②親水性と疎水性のポリエーテルセグメントからなる両親媒性BCPについてもミクロ相分離挙動を検討した。今年度は、主鎖のタクティシティーを制御したポリエーテルBCPの合成とモルフォロジー解析を検討した。その結果、アイソタクチック主鎖とすることで、より規則性の高いナノ構造を形成することが判明した。また、環状構造を導入した両親媒性BCPのミクロ相分離構造解析を引き続き行っている。 ③ポリチオフェン(P3HT)やポリフルオレン(PF)などの共役高分子を一成分とする特殊構造ブロック共重合体の合成研究も行った。末端官能基化したP3HTやPFを原料(Aセグメント)とし、クリック反応を駆使することでABA型やA2BA2型のBCPを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度に引き続き、様々な非直鎖状構造を有する特殊構造ブロック共重合体の合成に成功している。また、一部の材料については非直鎖状構造とミクロ相分離挙動の相関について知見が得られている。さらに、非直鎖状構造以外にも、主鎖のタクティシティーという新たな視点を取り入れた研究にも着手することが出来た。このことから研究全体として、順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに特殊構造ブロック共重合体の合成法はおおむね確立できており、次年度は特殊構造とミクロ相分離挙動の相関解明に特に注力する。その成果をもとに、微細な周期間隔でミクロ相分離可能な材料開発を実践する。
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