研究実績の概要 |
代表者らが以前見出した2つのオリジナル技術、HSSP(JACS(2003))とSCAT(JACS(2013)発表)を用いて、2D化つまり分子内孔含有2D高分子の合成を行った。三つの方法([1],[2][3])を用いて、以下の3段階(A,B,C)の実験を種々の組み合わせと順序で行った。[1]可溶性マルチストランドスターポリマーの合成[2]分子内孔含有2D高分子の合成 [3] SCAT体両親媒性3官能性モノマーよりの2D高分子合成 A ペンダント官能基間の2D(二次元)重縮合による規則的な分子内孔を多数持つネットワークポリマー膜の合成、B これに続くSCATによる積層型2D高分子膜の合成、C そして最も薄い高性能の理想的分子ふるい膜として,その分子層剥離による単層型2D高分子膜の創製。 [1] では、膜状態で光によるラジカル重合により、Aを分子内で行い、得られた可溶性で自立膜性を有する分子内孔含有マルチストランド単独高分子を溶媒キャストで製膜し、さらに、膜状態で重縮合を行い、不溶性のマルチストランドスターポリマーの合成に成功した。その膜より気体分子混合物の透過測定を行った結果、分子内孔により性能の向上ができることを見出した。透過性能はロベソンの1991アッパーバウンドを超えた。 [2]では、いずれも膜状態でA→B→Cの順に行ったが、各段階の高分子反応の転化率を制御し、製膜性を維持し、得られた不溶な分子内孔含有2D高分子の自立膜の気体分子混合物の透過測定を行った結果、後重合によるネットワーク化が選択性向上に有効なこと、一方で、SCATに伴うミクロ孔形成が透過性向上に有効なことを見出した。また、薄膜化と低重合度化の性能への効果も見出した。 [3]では、SCAT体3官能性ハロゲン化モノマーと、二官能性の3級アミンコモノマーの組み合わせで、自立性のネットワークアイオノマーの合成に成功した。
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