研究課題/領域番号 |
16H04184
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
白井 孝 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30571426)
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研究分担者 |
藤 正督 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50238523)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 触媒 / 代替材料 / HAp / VOCガス / 結晶性 / 貴金属触媒 |
研究実績の概要 |
本研究では貴金属触媒の代替材料として近年注目されている酸化アパタイト(HAp)の結晶性がVOCガス分解能に及ぼす影響について研究を行った。沈殿法による針状HAp結晶の合成と気液相界面を利用した板状HAp結晶の合成を行った。針状では、合成時の養生温度や時間、攪拌の有無などの条件を変えることで、異なる結晶性を持つHApの合成に成功した。養生時では、攪拌するより静置した状態で合成した方がより高いa/c面の強度比を得ることができた。また、合成した粒子を熱処理することでOCPがHApに転化し、HAp単相を得ることに成功している。気液相界面を利用した板状HApの合成では、溶液の上澄みに析出した合成粒子のみを採取することによってa/c面の強度比の低いHApを合成することができた。またCa/P比が類似している針状、板状のHApのVOCガス分解試験を行い、結晶性による分解能の影響を調査した。Ca/P比が量論型ではないものの、板状HApがより単位面積あたりの分解率が高いことが分かった。つまり、結晶性を制御することで触媒特性を向上させることが出来ると考えられる。これらの結果を受け、本研究では結晶面を制御することでガス分解特性に影響を与えることがわかった。またVOCガス分解のメカニズムを明らかにしていくことで、より触媒能の高いHApを作製できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
VOCガス分解フィルターに必要な原料HAp粉体の触媒特性の最適化研究の一環として、最適Ca/P比の把握、成形手法及びフィルター特性を鑑みた粉体特性(粒径、粒度分布、分散性)について検討を行った。合成時におけるpH値や攪拌方法等について検討を行い、合成したHAp粉体の結晶性、組成評価をX線回折装置、粒子形状、一次粒子径評価を走査型電子顕微鏡、粉体表面状態を雰囲気調整可能なセルを用いたFT-IR(購入備品)測定で評価し、最適なCa/P比ならびに粒子径状の制御による触媒活性の最適化を行った。 またHap合成実験において、結晶性とメカノケミカル効果の相関に関する成果を得ており、メカノケミカル処理の連続工程の検討に関する実験を前倒してその条件最適化について検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究進捗が順調であり、実験計画を前倒しで行えている。本年度は当初予定していたメカノケミカル処理に関する研究内容をさらに昇華させ、合成した粉体の結晶性の差異が及ぼすメカノケミカル効果への影響について検討を行い、研究目的をより高いレベルで達成することを目指す。
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