研究課題
本研究では,単分散性に優れた球状の金属・量子ドット・強磁性ナノ粒子から“液晶性有機無機デンドリマー”を構築し,デンドリマーの自己組織性に由来した異種ナノ粒子の自己積層により異種ナノ粒子が孤立かつ精緻に配列した“超配列自己集積構造”を構築する.この際,隣接する金属・量子ドット・強磁性ナノ粒子のプラズモン共鳴・蛍光・磁気特性を人工的に制御するメタマテリアル特性を示す有機無機ハイブリッド材料を得る手法を開発する.さらには,強磁性ナノ粒子の“磁気誘導加熱”現象に着目し,交流磁場下において液晶相転移を誘起し,メタマテリアル特性のON-OFF 制御を実現する.本課題では,機能性単分散無機ナノ粒子表面に有機デンドロンを精密化学修飾することで,無機ナノ粒子の優れたプラズモン・蛍光・磁気的性質と有機デンドロンの構造可逆性とを兼ね揃える“液晶性有機無機ハイブリッドデンドリマー” を構築し,異種ナノ粒子間での相互作用の発現に伴う革新機能材料を開発することが重要である.代表者はこれまでに,“液晶性有機無機ハイブリッドデンドリマー” を開発してきた.本手法は,十数ナノサイズの領域におけるナノ粒子規則配列・集積のための解決的手段となる.平成29年度は,デンドロンのルーチン大量合成に加え,平成28年度に確立した単分散性に優れた表面カルボキシル基修飾強磁性Fe3O4 ナノ粒子の合成法を活用し,引き続きデンドロン修飾強磁性ナノ粒子の合成を行い,合成法を確立するに至った.一方で,代表者は既に,CdS 半導体ナノ粒子をコアとする“有機無機ハイブリッドデンドリマー”を得ており,Cell Press 社が刊行した Chem 誌へと掲載され,大きな成果となった.強磁性Fe3O4 ナノ粒子をコアとするハイブリッドデンドリマーも,組織構造の形成目処が立ち,平成30年度での論文東湖を予定している.
2: おおむね順調に進展している
平成29年度は,以下の内容につき実施する事を目的とし,研究開発に取り組んだ1.デンドロンのルーチン大量合成に加え,オリゴチオフェン型デンドロンを合成する2.単分散性に優れた表面カルボキシル基修飾強磁性 Fe3O4 ナノ粒子の合成法を確立する3.CdS 半導体ナノ粒子をコアとする“有機無機ハイブリッドデンドリマー”のさらなる構造解析を行う.4.単分散性に優れた表面カルボキシル基修飾強磁性 Fe3O4 ナノ粒子のナノ組織構造評価を行うすべての項目について順調に推移していることから,おおむね順調に進展していると理解している.
現在までの進捗からわかるように,平成29年度末の段階では,研究はおおむね順調に推移していると考えている.チオフェンデンドリマーの合成に関しては,実験回数が少ないが,平成30年度に集中して実施する事で成果が得られるものと理解している.また,金,量子ドット,強磁性ナノ粒子の3種類のナノ粒子をコアとする“有機無機ハイブリッドデンドリマー”の合成法を確立したことから,平成30年度はこれらが形成する超配列構造に由来した新規機能の発現が十分期待できるものと実感している.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
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