研究課題
前年度までにペロブスカイトトランジスタにおいて大きな発見があった。例えば、(1)基板の表面修飾及びトランジスタ構造の最適化を行うことでホール移動度を12cm2/Vsまで向上させた。(2)金属電極とペロブスカイトの間の化学反応を抑制することでペロブスカイトトランジスタをn型駆動(電子移動度1.5cm2/Vs)させることに成功した。(3)接触抵抗の影響を低減させることによってホール移動度を26cm2/Vsに、電子移動度を4.6cm2/Vsに向上させることに成功した。(4)大気中におけるペロブスカイト膜の劣化機構を解析することから、大気安定なペロブスカイトトランジスタを実現した。このような研究を行っていく中で、ペロブスカイト膜中にある粒界によりトランジスタ特性が律速されていることを突き止めた。そこで今年度は、粒界が極めて少ないと考えられるペロブスカイト単結晶を作製した。単結晶表面に付着している残渣層をテープにより剥離し、シリコン基板に貼り合わせることでトランジスタを作製した。金のソースドレイン電極とMoOxホール注入層を用いた単結晶トランジスタはP型駆動し、最大で50cm2/Vsのホール移動度が得られた。このトランジスタのバイアス安定性は極めて良好であり、ホール移動度と閾値電圧にバイアス時間依存性はほとんど見られなかった。スピンコート膜においては大気中における酸化が大きな問題であったが、単結晶トランジスタ特性は大気中で極めて安定であった。この結果は、単結晶のような高品質サンプルを作製すれば、酸化による影響を抑制できることを示すものである。さらに、アルミのソースドレイン電極とC60バッファ層を用いるとn型駆動することを見出した(電子移動度は約36cm2/Vs)。本研究成果は、ペロブスカイトの基礎的なキャリア輸送特性を解明するためにも有意義である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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