研究実績の概要 |
本研究では、有機エレクトロニクスの分野において不足している、高性能電子輸送性半導体ポリマーの開発を目指している。 以前に開発したビチオフェンジオン(BTD)の異性体である、S-ペックマン骨格(SP)を有する半導体ポリマーを開発した。SP系ポリマーはBTD系ポリマーに比べて、主鎖の結合交替が小さく、π共役が発達していることが要因であることが分かった。いずれのポリマーもアモルファス状の薄膜を与えるにもかかわらず、SP系ポリマーの移動度はBTD系ポリマーに比べて2桁程度大きいことが分かった(論文投稿準備中)。 エステル基を置換基として有するナフトビスピラジンを用いたポリマーを開発したところ、アルキル基を置換基とするポリマーに比べて、吸収帯が顕著に長波長シフトした。これらを用いた有機薄膜太陽電池にて6%程度の変換効率を得た(Macromolecules, 2019, in press)。さらに、非対称ハイブリッド型ナフタレン系骨格の開発に成功した(Chem. Eur. J. 2018, 24, 19228)。 新規骨格であるジチアゾリルチエノチオフェンビスイミド(TzBI)を有する半導体ポリマーの合成に成功した。TzBI系ポリマーは、チオフェン型であるTBIを有するポリマーに比べて深いLUMOレベルを有し、これをn型半導体とする有機薄膜太陽電池ではTBI系ポリマーよりも数倍高い変換効率を示した。
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