研究課題
ラダー(梯子状)ポリマーは、主鎖の繰り返し単位が2つ以上の結合からなる高分子として定義され、繰り返し単位ごとに環構造を有するユニークな高分子である。ラダーポリマーは通常の高分子よりも熱的・機械的安定性の優れた高分子材料を与えるものと期待されており、透過性と分離能が優れた気体分離膜に応用できること、液晶ディスプレイ、マイクロエレクトロ用パッケージング剤、さらには非線形光学材料などへの応用が期待されている。しかしながら、可溶性かつ構造が明確なラダーポリマーを合成することは容易ではない。汎用性が高いビニルモノマー群からなる可溶性のラダーポリマーを合成した例は申請者が知る限り皆無である。申請者らはごく最近、棒状らせん軸上に強く束縛(摂動)を受けたマルチビニル基が溶液重合であるにも拘わらず、主に分子内で速やかに重合し、定量的に可溶性のラダーポリマーを与えることを見出し、1次元摂動重合と名付けた。本申請研究では、この1次元摂動重合とATRP法を組み合わせた1次元摂動分子内ATRP法による可溶性ラダーポリマーの精密合成法を開発し、ラダーポリマーをビルディングブロックとした各種ブロック、グラフトポリマーの合成およびラダーポリマーならではの応用展開を図る。今年度は分子間架橋を抑制するためにナノ空間の精密特性解析を行い、さらにATRP開始基を有するマルチビニルポリマーをそのナノ空間に画分化することによって分子間架橋が全くなく、二重結合消費率が75%程度のラダーポリマーが精密合成できることを明らかにした。本申請研究で得られた多くの基礎知見をさらに発展させることによって、従来その合成が困難であった光学活性ラダー、各種ブロックポリマーの精密合成に展開を図る。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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