研究課題/領域番号 |
16H04209
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
浅尾 直樹 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (60241519)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ナノ材料 / 環境材料 / 酸化セリウム / 酸素吸蔵能 / 脱合金化 |
研究実績の概要 |
排ガス浄化触媒の機能性向上は、地球環境保護のために極めて重要である。しかし、ガソリンエンジン車の排ガス浄化触媒とディーゼルエンジン車の粒子状物質酸化触媒は、いずれも低温下での活性が低いことが問題となっている。最近研究代表者は、脱合金化法を用いたチタン酸化物のナノ材料作製法の開発に成功した。そこで本研究課題では、この作製法をベースとして新しい酸化セリウムナノ材料の作製法を開発し、低温下での酸素吸蔵能を向上させることにより、ガソリン車、ディーゼル車、共に低温下での浄化触媒の活性向上を目的に研究を行った。まず、セリウム金属とアルミニウム金属の粒状物を様々な組成比で混合し、アーク熔解炉を用いて熔解してセリウム-アルミニウム合金塊を作製した。これをメルトスピニング法により急速冷却することでリボン形状にした後、本材料を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬したところ、アルミニウムの溶出とセリウムの酸化が進行し、ナノロッド状の酸化セリウムが生成することを見出した。また、セリウム-アルミニウム合金塊をガスアトマイズ法によって急速冷却する微細化についても試み、ふるい分けをすることでサイズのそろった粉末形状にすることに成功した。これら粉末に対しても水酸化ナトリウム水溶液で処理したところ脱合金化が進行し、ナノロッド状の酸化セリウムが生成することを明らかにした。続いて、これら材料の酸素吸蔵能を熱分析装置を用いて調べたところ、200℃以下の低温下でも活性を示すことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
脱合金化法を用いてセリウム合金から目的とする酸化セリウムナノ材料の作製に成功した。急速冷却法としてメルトスピニング法とガスアトマイズ法を利用し、どちらからもナノロッド状の酸化セリウムが生成することを明らかにした。そして、熱天秤を用いてこれらナノ材料の酸素吸蔵能を調べたところ、低温領域においても活性を示すことを明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
脱合金化に基づく酸化セリウムナノ材料作製法の有用性を示すため、脱合金化を様々な条件で行いそれら条件がナノ構造に与える影響を調べる。特に得られた材料の熱耐性について評価し、構造による変化を明らかにする。また、原料としてジルコニウムを含むセリウム合金を作製し、その添加による構造や酸素吸蔵能に対する影響を明らかにする。
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