研究課題
TiC-ZrCおよびTiCN-ZrCN系などの遷移金属炭化物、窒化物および炭窒化物は全率固溶系であり、これらの全率固溶体は高温における熱時効によって相分離する。この相分離を用いることによりナノ領域で第二相が微細に分散したセラミックスを開発することができる。本研究では、放電プラズマ焼結 (SPS) 法によりTiC-ZrCおよびTiCN-ZrCN系固溶体を作製し、その後の熱時効による相分離させ、第二相の微細分散を用いて高硬度・高靱性・高強度セラミックスを開発した。SPSを用いることにより、二相分離する前に緻密化させ、準安定な固溶体を作製した。TiC-ZrC系では、組成によっては、TiC-リッチ相とZrC-リッチ相の二相の固溶体になるか、あるいは全体に一様な固溶体になる。遷移金属炭化物系では、二相分離温度が2000K以上で実用材料の開発には難点であったが、CをNに置換することによって、焼結温度および二相分離温度が顕著に低下することがわかった。また、二相分離によって、ナノメーターレベルの微細分散組織が得られ、硬度・破壊靱性も同時に向上できることを見出した。これらの系の固溶体の相分離が、組成により、核発生・成長による二相分離からスピノーダル分解に遷移することを見出し、スピノーダル分解に特有の変調構造を見出した。本研究により、高融点遷移金属炭窒化物において、スピノーダル分解が起こることを初めて実験的に明らかにするとともに、CのNの置換により焼結温度・二相分解温度が著しく低下できることから、スピノーダル分解による組織制御が高硬度・高靱性の実用セラミックスの開発にとって有効な方法であることを見出した
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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