研究課題/領域番号 |
16H04215
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平尾 一之 京都大学, 工学研究科, 教授 (90127126)
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研究分担者 |
西 正之 京都大学, 工学研究科, 講師 (50402962)
清水 雅弘 京都大学, 工学研究科, 助教 (60704757)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ガラス融液 / ソレー効果 / 温度勾配 |
研究実績の概要 |
ガラス融液のソレー効果を解明するためには、実験・分子動力学計算・理論の三つの定量的アプローチが必要である。当該年度にはこれらを並行して進めた。 高温特殊温度勾配炉を電気炉メーカーと共同で開発した。当該炉は既に納品され、試運転済みである。当該炉は最高1500℃まで昇温可能であり、ガラス融液の自然対流を低減するため、垂直上方から加熱可能である。設置予定のSiO2系サンプルを液相温度以上で100時間以上の熱処理が可能である。分子動力学計算のCPUコア間並列化をOpenMPで行い成功した。これにより、3000粒子系でのソレー効果のシミュレーションが可能になった。並行して、京都大学スーパーコンピュータで自作の分子動力学計算を走らせることに成功した。これにより、来年度以降にさらに多粒子系での計算が可能になった。CaO-SiO2系における分子動力学計算において、低温側1800℃をとし、高温側2200℃として温度勾配をかけると、低温側でCaOのモル分率が高くなり、高温側でSiO2のモル分率が高くなった。このモル分率分布は、定性的ではあるが2011年に我々が報告したレーザーによるガラス内部の局所加熱実験結果と一致していた。ガラス融液のソレー効果の再現に初めて成功するとともに、今後、分子動力学計算により、ソレー効果に寄与する因子を議論できるようになった。一方、SiO2系と比べてより低融点のGeO2系およびB2O3系におけるソレー効果の実験を行い、両者ともアルカリ金属酸化物が低温側で高いモル分率となった。両者に関して熱力学的な考察を行い、移動方向を説明することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験・分子動力学計算・理論的考察それぞれにおいて進展があったから。
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今後の研究の推進方策 |
Na2O-SiO2系、Na2O-CaO-SiO2系、CaO-Al2O3-SiO2系の3つの系で実験・分子動力学計算・理論によりソレー係数を算出し、比較する。特に、分子動力学計算および理論から、拡散種の重さ・大きさ・結合強度および系の自由エネルギーとソレー係数との関係を議論する。並行して、液相温度の低いGeO2系、B2O3系で同じ方針で研究を進める。
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