研究課題/領域番号 |
16H04219
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島ノ江 憲剛 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (10274531)
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研究分担者 |
渡邉 賢 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90552480)
西堀 麻衣子 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (20462848)
末松 昂一 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (90637555)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ガスセンサ / レセプター / 酸化物半導体 / ペロブスカイト型酸化物 / MEMS / カルス加熱 / 酸化スズ / ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
(1) ガス種の選択的検知を目指したダブルレセプター触媒の検討 ・アルカリ金属および希土類を用いた酸化物触媒による酸化活性検討では、レセプターとしてLaCaCoFe系とBaLaFe系のペロブスカイト型酸化物について、そのレセプター効果をSnO2センサ材料と混合し、パルス駆動MEMS素子を用いて検証した。測定ガスを水素、一酸化炭素、トルエンとしたとき、特にトルエンについて低温作動側において顕著な感度増加が見られた。この感度増加は、MEMS素子の瞬間的な加熱により、250℃より高温において酸素を放出することから、ペロブスカイト型酸化物表面での部分酸化反応がより加速され、酸化スズ表面に負電荷吸着した酸素とそれが反応して得られると考えられる。 ・上記触媒のセンサ材料(SnO2)担体との相互作用の検討では、SnO2とペロブスカイト型酸化物を混合する際に、ペロブスカイト型酸化物の粒子サイズが大きな絵影響を及ぼすことがわかった。粒子サイズが大きいとセンサ感度の増大は小さく、粒子径が小さい方が有利であった。これは、酸素を放出する際の表面積と関連があるようで、現在詳細を検討中である。また、SnO2上にPdを担持する場合とペロブスカイト型酸化物にPdを担持する場合では大きな違いが見られ、後者はほとんど感度増大を示さなかった。これは、ペロブスカイト型酸化物にPdが担持されるとより低温で酸素の脱離が起こるためと考えられる。 (2)貴金属担持によるSnO2内部の空乏層拡張の検証と水蒸気吸着抑制メカニズムの提案では、3nm以下の貴金属の高密度分散担持として、これまでの担持法以外にキレート担持を検討している。 (3)ダブルレセプター効果のセンサ特性上での確認とそれを用いた多機能センシングの検討では、上記で得られたセンサ材料について、パルス加熱条件を変化させるとセンサ感度が大きく変化する特異な現象を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に挙げている検討項目については大方検討を行い、その結果、ダブルレセプター効果がMEMS素子を用いた時に発現することを見出している。また、ペロブスカイト型酸化物レセプターが異なるとセンサ感度にも影響を及ぼすこと、そのサイズも重要であること、SnO2へのPd担持が有用であることなどを明らかにした。また、種々の検討を行う中で、パルス加熱の条件がセンサ感度に大きな影響を与えることがわかり、今後の重要なパラメーターとなることもわかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、各項目の詳細を検討する。さらに、ダブルレセプター効果について解析的な検討も行う。また、ダブルレセプタ効果を用いた多機能センシングについて、昨年度完成した温度スイープ型センシングソフトを用いて単一素子による混合ガス成分の分離センシングを試みる。これらを進める中で、成分分離が可能な条件を見出し、バイオマーカーガスの検知感度を検討する予定である。
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