研究課題/領域番号 |
16H04221
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石橋 晃 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30360944)
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研究分担者 |
松岡 隆志 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (40393730)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 太陽電池 / 導波路結合 / 集光系 / 非対称導波路 |
研究実績の概要 |
従来の導波路は、光導波方向についてその順方向と逆方向に関して、対称構造を持っており、また基本的に光を導波するコア層をクラッド層で連続的に挟み込んだ構造により光の漏れを防ぐとともに、閉じ込めを行って導波させていた。このため、光を外から導波路コア層に導入することが極めて難しく、従来型導波路を集光型太陽電池・光電変換素子と結合する際には、その光集光において非常に困難な点が多くあった。本年度は、周期配列放物線ミラーとテーパー導波路の結合系により、光導波方向についてその順方向と逆方向に関して、非対称構造を持たせることを試みた。特に3Dプリンティングを活用して同心円状に配置した周期配列放物線ミラーを作製するとともに、これと結合して最適な円錐状の形状を持つテーパー状導波路も作製して、新しい非対称導波路構造を作製するとともに、この端に太陽電池を配することで、集光系としてこのシステムが機能することを実験で確認した。この非対称導波路構造を更に進化させ、コア層に準解放構造を持たせつつクラッド層の各部分において不連続構造を有せしめることが有効であることがシミュレーションで明らかになりつつある。今後は、各非連続クラッド層の幾何学的構造は、導波方向に沿って、その最後端においてコア層に対してタンジェンシャルに接するような構造を持たせることを試みる。これにより、コア層内の光は、導波方向に沿って高効率で導波されるとともに、クラッド層の非連続性とコア層の準解放性によって、導波路コアに対し導波方向の複数ポイントにおいて外界から光の導入を可能にできることを確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非対称導波路のひとつとして、周期配列放物線ミラーとテーパー状導波路を結合したシステムをシミュレーションと実作の2つのアプローチでその有効性を示すことができた。シミュレーションで必要な屈折率を求め、現在利用可能な物質系により、テーパー導波路が作製できることを確認した。周期配列放物線ミラーは3Dプリンティングとその表面平坦化、さらにその上への銀蒸着の技術を導くことができた。また、光学系を組んで、ソーラーシミュレーターを活用して、非対称導波路構造の端に太陽電池を配置することで、集光系としてこのシステムが機能することを確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
従来の導波路構造の基本概念を超え、導波路を光導波方向についてその順方向と逆方向に関して、非対称構造を持たせることを試みる。また、導波路コア層に準解放構造を持たせ、またクラッド層の各部分において不連続構造を有せしめる。この時、各非連続クラッド層は、その幾何学的構造は、導波方向に対して、導波方向に沿って、その最後端において、コア層に対してタンジェンシャルに接するような構造を持たせる。これにより、コア層内の光は、導波方向に沿って高効率で導波され、しかもクラッド層の非連続性、コア層の準解放性によって、導波路コアについて導波方向の複数ポイントにおいて、外界から、光の導入を可能にできることを、まずシミュレーションにより実証する。光の集光と高効率の導波という目的に対し、極めて有効な構造と機能を実現することで、太陽光の連続スペクトルに呼応して(スペクトルエネルギーについて)連続して光電変換を可能であることを示す。以上により、従来型の素子に対して、非対称導波路結合光子・フォトキャリア直交型マルチストライプ半導体太陽電池の優位性を示して行く。
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