研究課題
我々の測定では励起光のエネルギー(hν)を掃引して多数のスペクトルを測定するが、試料の状態密度を求めるにはそれらを適切に規格化して光イオン化断面積のhν依存性をキャンセルする必要がある。これまでは,励起光エネルギーの隣接したスペクトル間の共通領域の強度を揃える”overlap法”を用いていた。これに対して,各スペクトルから同一の運動エネルギーの光電子の強度をとりだし,hνの関数としてプロットする"一定終状態 (CFS)法"を適用した規格化も行った。すると,これまでバンドギャップ領域になだらかなテール準位しか見えなかったa-IGZOに対して,エネルギー的に局在化したギャップ準位が存在することを見出した。さらに,同様の実験をGaNやSiなどの無機半導体,C60,TPBiなどの有機薄膜などに適用し,波長掃引型高感度紫外分光から試料の状態密度を有効に得られることを示すことができた。a-IGZOに関しては,Cambrige大学のグループに依頼して,光熱偏向分光(PDS)により高感度吸収スペクトルを測定し,それと我々が測定したHS-UPSから求めた状態密度をもとに,空準位のギャップ準位の状態密度をdeconvolutionプログラムで求めた。その結果,伝導帯の直下に急峻な傾きの空テール準位を見積もることができた。得られた結果は定性的には問題ないが,エネルギーの指数関数となる空テール準位の傾きは定量的に決定することはできなかった。これは,用いた試料が強いn型であるため,空テール準位の存在域が狭すぎるためと考えられる。今後,p型試料,真性試料などを試料にして同様の実験を行えば,定量的に空テール準位を決定できるものと予測しており,本プログラム終了後も継続する予定である。この他,絶縁性高分子,有機太陽電池などのモデル薄膜におけるギャップ準位と電気物性の関連を解明するなどの知見も得た。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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